正則行列と逆行列について解説します。
10分くらいで簡単に読める量にまとめました。
この記事を読めば、正則行列と逆行列の概要が分かります。
正則行列と逆行列の関係
ある$n$次正方行列$A$があり、$$AB=BA=E$$を満たすとき、$A$を正則行列という。
また、このような$B$を$A$の逆行列といい、$A$に対してただ1つしか存在しない。
いま、$B$とは異なる逆行列$C$が存在し、$AC=CA=E$を満たすとします。$$C=CE=C(AB)=(CA)B=EB=B$$となり、$C=B$。よって$A$に対する逆行列は$B$ただ1つしか存在しない。
通常、一意的に定まる逆行列$B$を$A^{-1}$と表す。
例えば、
という行列$A$があり、その逆行列$A^{-1}$は
であり(求め方は他の記事で)、
よって、$A$は正則行列です。
すべての$n$次正方行列が正則になるわけではないです。ここで言っているのは一部の$n$次正方行列が正則になり、正則になったのならば、ただ1つの逆行列を持っているということです。
逆行列の性質
逆行列は正則行列に対してただ1つだけ存在して、正則行列に掛け合わせると単位行列になる行列のことでした。
要するに、逆行列は正則行列における逆数みたいなものです。
逆行列の主な性質について説明します。
$(AB)^{-1}=B^{-1}A^{-1}$
$A,B$を$n$次正則行列とすると、$AB$も正則となり、その逆行列$B^{-1}A^{-1}$が存在する。
$$(AB)^{-1}=B^{-1}A^{-1}$$
実際、
よって$AB$は正則行列で、その逆行列は$B^{-1}A^{-1}$である。
$(A^{-1})^{-1}=A$
これは$A^{-1}$の逆行列$(A^{-1})^{-1}$は$A$であるということです。
逆行列は行列における逆数みたいなものだということを思い出せば、自然と理解できるはずです。(逆数の逆数はもとの数)
まとめ
今回は正則行列と逆行列について解説しました。
重要なことは以下の2つです。
- 正則行列に対して逆行列はただ1つだけ存在する
- 逆行列は行列における逆数みたいなもの
とりあえず、この2点はきっちりと理解しましょう。
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